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当番日誌

2003.10.02

海岸線は誰のもの

  この8月から9月にかけて、カナダの西海岸にあるバンクーバー島を仲間とともにヨットで一周してきた。バンクーバーを起点に反時計回りで全行程は1400km近い距離をヨットに起居しての航海であった。運良くオーロラは見えるし、シャチの群れを目の前にすることもでき、大自然パノラマ航海である一方で、ナビゲーションの実地訓練としては最適の海域で得がたい経験もできた。

  カナダの海を何度か航海しているが、いつも思うことは海岸線が一部の港湾設備を除けば、ほとんど自然のままであることだ。多くの海岸線には民家も建っている。きれいな島には別荘も並んでいる。なのに、海岸線がごてごてした感じの場所は一切ない。もちろん国民の海や島に対する文化が違うと言って、片付けることも出来よう。

  バンクーバー近海の航海参考図書を読んでいたら、Crown Foreshore なる文言が目に入ってきた。これが鍵だ。なるほど、ちゃんとしたベースがあるのだ。

  皆さんに質問です。カナダでは海岸に私有地を持っている場合、海側の私有地の境界線はどこまででしょうか?

  答えは、海側の私有地の境界線は満潮時の潮位の線までなのです。

  と言うことは、満潮と干潮の間の、すなわち濡れたり乾いたりする海岸部分(カナダでは潮汐の差が激しいのでバカにできない面積です)は誰のものなのでしょうか。

  それは、女王陛下の海岸線なのです。実際には州政府が管理する国有地です。そうして、国民が自由に海岸線にアクセスすることを確保しているのです。

  言い換えれば、善良な目的である限りは、人様の海岸沿いの私有地でも、満潮線以下の磯には小型ボートでもカヤックでも自由に上陸してもいいのです。さすがカナダだと思いませんか。

  同じ北米大陸のアメリカでは海岸線での私権がどうなっているのか知りません。何せ土地の原始取得の要件に公然かつ、敵対的に、というのがある国ですから・・怖いです。

  わが日本は漁業権とやらで、勝手なことができません。この不況下、ヨットなんぞに乗って・・、とどやされるかもしれません。本来、海岸線は国民皆のものなのです。

寄稿者:田中 洋